解熱剤の頓服は、解熱効果と鎮痛効果があります。解熱剤の使用は、38.5℃以上で体調が悪い時(食欲がない、痛がっている、活気がない)に使用することが基本です。
保護者に鎮痛作用から高熱がなく使用し2日間で7~8回使用したり、発熱で「食欲なく水分も取れていない」と再診し、あまり食べてないが元気はあるので頓服は使ってないと言われることもあります。 解熱鎮痛剤の頓服は24時間で5回以上の使用は、肝臓に負担になり効果も疑われお勧めしません。小児の頓服はアセトアミノフェンを使用しますが、発熱と鎮痛に絶対的効果があり上手に使ってください。
解熱剤として使う時は、発熱はある設定温度まで体温上昇する段階で、手足は冷たくなり悪寒と言われる顔、手や足の筋肉収縮させて発熱を促します。熱が出始めた37.8℃前後の時点で解熱剤の使用は、発熱の設定温度まで上昇させることを妨げ悪寒や寒気が長引くことになり効果が乏しくなります。発熱があり機嫌が悪く、悪寒を認めた時は、検温とともに手足に触れ冷たいようなら布団をかけてあげ、悪寒が消失し手足が温まったら解熱剤を投与してあげてください。
鎮痛剤と使用する時は、4回(3回の食前と夜間の眠前など)にしてください。3日以上繰り返し鎮痛剤を使わなければならない時は、必ず受診してください。
2週間以上続く4週間の継続は遷延性咳嗽とされ、8週間の継続は慢性咳嗽とされます。秋から冬の間は咳が続くことがあり季節性の咳き込みは、空気が乾燥し気管や気道が細い幼少児に多く、アレルギー反応で夜間のせき込みが続き昼間は少ないことが多い。またスギやヒノキの花粉症のあるお子さまは、春先も咳き込みが続くことがあります。これらの咳き込みは一日の昼夜で差があり発熱は37~38℃の微熱が持続しアレルギーの治療を10日程行うことで改善します。咳に伴って発熱や鼻汁・鼻閉を伴なう時、マイコプラズマ感染症や慢性副鼻腔炎から咳嗽が続いている可能性があり、レントゲン検査、血液検査や抗原検査や鼻腔培養検査を行って適切な治療が必要です。今年初期から百日咳の流行が言われます。百日咳は三種混合・四種混合・5種混合ワクチンにより予防効果により、当院の百日咳患者は一人も発熱はなく、年齢は小学生の高学年から高校生がほとんどです。マクロライド系抗生剤の5日間内服することで、周囲への感染拡大は防げますが、お子さまの症状はひどくならない程度で改善が乏しく、その効果は咳嗽の持続期間の短縮が期待されます。
普段は便がよく出ているお子さんが、一時的に便秘の状態になっただけの時には、「一過性便秘」といいます。一過性便秘の場合には、浣腸や薬で便を出してあげれば、また元の良い状態にもどる場合がほとんどです。便秘が、1~2ヵ月以上続いている場合には、「慢性便秘症」とされます。経過により治療はことなります。3種類ぐらいの便秘薬を投与します。慢性便秘のお子さまは、3か月程度治療の継続をお勧めします。
医療において、便秘は週に3回より少なく、5日以上でない日が続いた状態を便秘と診断するのが一般的です。ただ毎日排便があっても便がコロコロで、でる時に痛くて泣いたり、排便後肛門から血がでる時も便秘と考えてよいと思われます。便が固いことがお子さまに苦痛の原因になっている事から便を出すだけでなく、便を柔らかくすることが必要です。こどもの便秘は珍しくありません。10人に1人以上存在すると言われ、特に離乳開始から終了のころ母乳摂取量の減少、トイレットトレーニングや通学・通園を機に始まるとされる。
便秘の治療薬は
浸透圧性下剤
大腸ファイバーを行うために、大腸の便を無くすために開発された検査用薬剤「マグコロール」を在宅で処方できるようになったもので、急にお腹が痛くなったりしない上効果は確実です。
- 塩類:酸化マグネシウム(カマグ・マグミット)水酸化マグネシウム(ミルマグ)
フランス産のミネラルウォーターの「コントレックス」はマグネシウムを沢山含んだ超硬水が、以前「ダイエット」に効果があるとされ排便を確実に促します。
刺激性下剤
- ピコスルファートナトリウム(ラキソベロン)
- セ ンノシド(プルセニドなど)
どちらも、比較的確実な効果が得られますが、飲み始めのときに量の調整が必要です。量が多いと、下痢になったり、おなかが痛くなったりする可能性があります。
機能食品に近く急にお腹が痛くなったりしませんが、内服で効果は出にくいと言えます。
坐薬
中耳炎とは
耳は外部からの音を感じ伝える場所が鼓膜です。中耳炎とは、まさに鼓膜の内側中耳の部分に正常ならない液体が貯留した状態です。中耳炎になると、耳を痛がったり、耳垂れ(鼓膜が破れ膿が出てくること)がおきたり、機嫌が悪かったりします。
中耳炎は、生後半年から1歳、2歳ぐらいをピークとして、3歳ぐらいまでは非常に多い病気です。これは、大人に比べて鼓膜と喉をつなぐ耳管が狭い、鼻粘膜の免疫が十分でないため鼻汁に細菌が増えやすい事による。3歳を過ぎると体格が大きくなり耳管も太くなり抵抗力もつき、中耳炎になる事も減ってきます。

急性中耳炎の場合
急性中耳炎は、鼓膜が赤く腫れて痛みや不快感をともないます。耳の異常・違和感はもちろんですが、発熱を伴う場合もあります。咽頭・鼻腔に増えた沢山の細菌を含んだ鼻汁が、鼓膜内側の鼓室に貯留した状態で激しい痛みを認め、時に嘔吐することもあります。
中耳炎の治療
鼓室に増えた細菌を減らすため、抗生剤(抗菌剤)を内服。痛みで泣くとまた鼻水が溜まるので、痛みのコントロールも大切です。当院でも鼻腔吸引や鼻腔洗浄をしてもらいますが、鼻水がたまる事は中耳炎の悪化や遷延につながります。まずは鼻水を貯めないように、鼻水や痰を柔らかくする薬を飲ませます。乳幼児では鼻がかめないので、鼻水を吸う処置を自宅でもしてあげてください。3歳になったら鼻をかむ練習をしましょう。
滲出性中耳炎の場合
急性中耳炎のような発熱や痛みなどの症状はなく、耳の違和感や手で耳をよく触る、
呼んでも返事をしない、テレビの音を大きくするなどの症状が起こります。鼓室に分泌物がたまってはいるが細菌などはいないので、痛みはないが鼓膜が動きにくいので聞こえにくくなる状態です。耳が聞こえにくい事で生活に支障があり、幼児期では言葉の発達に影響する可能性もあります。鼻水や耳管の体液が流れやすくさせるための投薬を行います。経過観察は必要なこともあります。
「おねしょ」とは
昼間は尿意によりトイレで排尿できるが、寝ている時は尿意がなく排尿してしまい寝巻や寝具を尿で濡らすことを「おねしょ」とされます。5歳のお子さまの5人に一人は夜尿症で、10歳でも20人に1人ぐらい(5%)は認められるとされます。「おねしょ」の原因は、夜間に作られる尿量が多い事と夜間に溜められる膀胱容量が小さい事によります。
「おねしょ」の治療
夜間の尿量を減らすために、夕食後から寝るまでの間は水分を控え、夜間の尿量を減らす効果がある「抗利尿ホルモン」を補う投薬を行います。寝てから朝までの間に「おもらし」の回数が少ないお子さまは治療の効果は出やすく、2回以上の「おもらし」をするお子様では効果がでにくい。夕食後の水分を制限し、寝る前に排尿をさせてからお薬を飲んで毎日の「おねしょ」をノートに記録しフォローします。
治療の効果は
冬場に比べ夏場は、発汗の増加により「おねしょ」が減少し夏場は結果が出やすいので治療を開始するには良いと思います。「おねしょ」は中学2年生を境に、中学3年生になるとほぼ100%無くなるので、中学の修学旅行はまず問題ないと思います。小学校の高学年に宿泊研修や修学旅行が問題となるお子様は3か月前に一度受診して、お薬の効果を実感してもらえると安心して旅行に行けると思います。当院は原則「おねしょ」はある年齢になれば必ず完治するため、積極的には治療をお勧めしませんが、学校行事に安心して参加できるよう治療をお勧めします。